裁判長！ ここは懲役４年でどうすか～ぼくに死刑といえるのか～のレビュー

心を揺さぶる裁判員のリアル

「裁判長～」シリーズのファンとして本作もまた見事でした。特に「自分の母が父を殺す光景」の章は、裁判員個々の感情がリアルに描かれ、心を強く揺さぶられました。作者の法廷に対する深い理解と洞察が窺える一冊で、読後は自身も裁判員の重責を考えさせられます。

現実を反映した緊迫の法廷ドラマ

今作で取り上げられている裁判員裁判のテーマは、とても現実的で引き込まれました。特に「レイプ裁判の裁判員6人全員が女性」という状況は、法と感情の狭間で描かれた人間ドラマが印象的です。前作のファンとしても、新しいアプローチに新鮮さを感じつつ、物語の深みには思わず頷く部分も多く、読了後はしばし考えさせられました。

迫力はあるが少し予測可能な展開

ドラマ化、映画化されたシリーズの最新作としては、期待値が高まりすぎていたのかもしれません。確かに法廷シーンは迫力があって引き込まれるものの、いくつかのエピソードは前作と比べてやや予測可能で新鮮味に欠ける感じがしました。それでも、シリーズが好きなので次巻が出れば読むと思います。