巌窟王のレビュー

脱獄への道、感動と慌ただしさの狭間で

絶望と救済の物語は、時に読む者の心をくぎ付けにする。フェリア神父との友情も感動的だが、彼の死とダンテスの脱獄が慌ただしく感じ、少し説得力に欠けた。物語全体としては面白いが、この巻だけを見ると物足りない。

内面的変化が光る、少しペースダウンの巻

謎に満ちた神父と共に計画される脱獄と、そこから生まれるダンテスの内面の変化が非常に興味深い。彼の復讐への決意が深まる様子には引き込まれた。ただ、前回の巻に比べると少しテンポが遅く感じた部分もあった。

希望と絶望の間で織り成される文学的傑作

ダンテスの途方もない冒険が胸を打つ。壁を削りながら感じる絶望と希望の間のドラマが、読む者の心に深く刻まれる。フェリア神父との出会いや脱獄計画、そして最後に託された財宝さえも文学的な重さで描かれており、復讐劇が始まる前兆として、この巻は絶対に欠かせない。