闇の王子の物語 曽祢まさこ傑作集のレビュー

悪魔的魅力に満ちた深遠な物語

「闇の王子の物語」は異色の作品集で、闇と欲望をテーマにしたストーリーがしっかりと構築されています。雑誌掲載時のカラー扉がそのままに含まれているのも懐かしさを感じさせ、非常に良かったですが、いくつかの話はやや理解が難しく感じました。全体的な世界観には引き込まれますが、深く考えながら読まないといけないので注意が必要です。

背筋も凍るダークファンタジーの世界

「闇の王子の物語」はまさにダークファンタジーの傑作です。作品ごとに繊細なタッチで描かれる悪魔と人間との契約の話は、読んでいて背筋が寒くなるほど。特に「小悪魔物語」がお気に入りで、子猫のエピソードが始まるところは心を掴まれました。曽祢まさこさんの解説も興味深く、ファンとしてはたまりません。

美しさと哀しさが交差する物語

神秘的で美しい表現が散りばめられた「闇の王子の物語」。悪魔の誘惑と人の欲望が交錯するダークなストーリーが次々に繰り広げられますが、中でも「マドック夫人の願い」が印象的。途中で展開が読めてしまい少し残念な点もありましたが、全体には満足しています。もう少し先が読めないような驚きがあれば完璧でした。