仮面は眠らないのレビュー

ダークな美しさが際立つ一冊

この本を手に取ってから、曽祢まさこの作風にすっかり虜になりました。『仮面は眠らない』の双子の妹の運命にはらはらさせられ、その結末に胸を打たれました。『にんじん』では、虐待を受ける少女の物語が心に深く刺さり、何度もページをめくる手が止まりました。『エスターの夢』は特に印象深く、愛が狂気へと変わる様子が冷酷ながらも美しく描かれていました。全体として、ダークで辛い内容が多いですが、その中にある美しさや描写の緻密さに惹かれて、ついつい読んでしまいます。

重いけれども、引き込まれる

曽祢まさこの『仮面は眠らない』は、暗くて重いテーマが多いけれども、一度読み始めると止まらなくなります。『仮面は眠らない』では、妹の復讐劇が想像以上に過激で、読みながら息が詰まるような感じがしました。特に、『にんじん』の虐待描写は辛かったですが、それだけリアルに感じさせる筆力には感服します。『エスターの夢』の結末には、衝撃を受けました。こんなにも計算されて描かれる物語は、必見だと思います。ただし、明るい気持ちで読みたい人には向いていないかもしれません。

独特な世界観に圧倒される

『仮面は眠らない』は、本当に独特でダークな世界観が広がっていて、一気に引き込まれました。双子の妹の軟禁生活の描写が生々しくて、彼女が恋をきっかけに行動を起こす場面には心が揺さぶられましたが、少し強引な展開に感じてしまいました。『にんじん』の話も陰惨で辛いものでしたが、読後に感じる虚無感が強烈でした。一方で『エスターの夢』は、愛の名のもとに繰り返される犯罪が恐ろしくも美しいと感じました。全体的に独特で、人を選ぶかもしれませんが、ファンにはたまらない作品かもしれません。