まんがグリム童話 孤ぎつねのレビュー

感動と複雑さが同居する作品

『まんがグリム童話 孤ぎつね』は、新美南吉の「ごん狐」をベースにしているだけあって、感動的でありながらも非常に複雑な気持ちを引き起こされました。ラーレの生き様は、若干の痛々しさを伴うもので、読み進めるたびに胸が締め付けられるようです。それでも、新任教師・ベルマンの登場は少し救いになり、彼への感謝の気持ちから行動に移るラーレの姿に心を打たれました。その他の短編も充実していて、特に「黄泉の橋」は感動的でした。ただ、官能表現がかなり強いため、好き嫌いが分かれるかもしれません。

官能と感動のバランス

初めて『まんがグリム童話 孤ぎつね』を読みましたが、これはただのエロティックな漫画とは違い、深い感動を与えてくれる内容でした。ラーレの過去と感謝の気持ち、それを支えるベルマンとの関係が心に沁みました。また、他の短編も各々がしっかりとした物語を持っており、特に「黄泉の橋」は涙なしには読めませんでした。官能的な描写が多いですが、それが逆に感情に深みを加えている感じがします。しかし、万人受けする作品ではないと思うので、その点で評価を減らしました。

官能的だけど深い内容

この作品は確かに大胆で官能的な場面が多いのですが、それ以上に深いテーマに触れています。特に、「孤ぎつね」は、人間として扱われたいという少女ラーレの切ない思いと、それぞれのキャラクターたちの心の葛藤が描かれていて、一気に読むことができました。新任教師ベルマンやその息子との関係も非常に感動的でした。「愛玩貸しマス」や「黄泉の橋」も短編ながら心に残る内容で、日本だけでなく中国の伝説を取り入れたところにも感心しました。ただ、一部の描写が少し過激すぎると感じるので、星をひとつ減らしました。