ヒトクイダンチのレビュー

昭和の恐怖が息づく団地の物語

ヒトクイダンチ 1は、昭和59年という時代設定が非常に魅力的でした。幸祐と綾子の幼なじみとしての絆や、新生活への期待が最初は心温まるものとして描かれていますが、次第にそこに潜む恐ろしい過去が明らかになっていくのが恐怖感を引き立てます。住人たちの物語もそれぞれ深く、彼らの抱える秘密が徐々に浮かび上がる様子には引き込まれました。また、この団地そのものがまるで生きているかのような雰囲気があり、まさに昭和ホラーの醍醐味を味わえました。人が消えるという設定が緊迫感を生み出し、次が気になって一気に読んでしまいました。恐怖と心理的な深さが融合した作品です。